古くから保湿剤として愛用されてきた馬油。
「子供の頃、おばあちゃんが塗ってくれた」なんて懐かしい思い出をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな馬油が、「しもやけ」にもよい効果をもたらしてくれると言われています。
しもやけは、強いかゆみや痛々しい赤みをもたらす皮膚疾患。
放置しておくと悪化する可能性があるので、適切な処置が必要です。
そこで今回は、人気の馬油「ソンバーユ」のメーカー薬師堂様にしもやけと馬油の関係について問い合わせしてみました。
その回答とともに、しもやけの特徴や、馬油がしもやけにもたらす作用などを解説していきます。
寒い冬にしもやけでお悩みのあなた、馬油の効果を知りたいという方は、ぜひ参考になさってくださいね。
Contents
1.しもやけって何?
そもそもしもやけとは一体どのような症状なのでしょうか。
まずはその特徴を把握しておきましょう。
1-1.しもやけとは
しもやけは、寒さによる血行障害が招く皮膚病のこと。
外気にさらされている指、耳たぶ、頬、鼻の頭などに多く見られます。
しもやけの原因は「急激な寒暖差」。
建物の内外で大きな気温差がある寒い時期には、体温調整がうまくいかないことがあります。すると血行不良を招いてしまい、しもやけを引き起こしてしまうのです。
一日を通してずっと気温の低い真冬よりも、寒暖差のある冬のはじまりと春先に多く発症するのがしもやけの特徴です。
1-2. しもやけの症状
しもやけは、主に次のような症状が見られます。
- 手足の指先や耳たぶなどが、赤色や赤紫色に腫れる
- 強いかゆみを感じる
- 押すと痛い
悪化すると水ぶくれになることも。
早めに適切な処置をすることが大切です。
1-3. 「あかぎれ」や「ひび割れ」との違い
同じく寒い冬に、指先などに見られる皮膚疾患として「あかぎれ」や「ひび割れ」がありますよね。
あかぎれやひび割れは、気温の低下や空気の乾燥によって、皮膚が乾燥することが原因。
浅い亀裂が入った状態を「ひび割れ」といい、出血するほど深く亀裂が入ってしまった状態を「あかぎれ」と表現します。
同じ冬に手指に多く見られますが、血行不良が原因で起こるしもやけとは、全く違うものなのです。
2.馬油でしもやけが治るのか、メーカーに訊いてみた
そもそも、馬油は本当にしもやけに効果があるのでしょうか。
人気の馬油『ソンバーユ』を販売されている薬師堂に問い合わせをしてみました。
お電話にて、次のような会話をさせていただきました。その一部をご紹介します。
私「馬油はしもやけに効果がありますか?」
薬師堂様「馬油がしもやけを改善するとは、残念ながら言い切れません。ただし血流を改善する効果はあります。」
私「血流を改善することで、しもやけの予防にはなるけれど、改善するほど効果はないということですか?」
薬師堂様「そうですね。しもやけの程度にもよりますが、治るとは言い切れないのが実状です。」
私「しもやけになっているときに、馬油を塗っても問題ないですか?」
薬師堂様「しもやけのかゆみが強く出ているときに馬油を塗布すると、余計にかゆくなるかもしれません。
もし塗るときは、症状が治まってから、やさしくこすらないように塗り広げてください。」
私「馬油には炎症を抑えてくれる効果があると聞きましたが、しもやけの炎症には効果がないということでしょうか?」
薬師堂様「馬油は新陳代謝を促進して傷の治りをよくする効果があります。なので、しもやけによって掻きむしってしまって、皮膚に傷ができているときには、その傷の治りをよくしてくれると思います。しかし、しもやけ自体の炎症を抑える効果は残念ながら期待できません。」
3.馬油がしもやけにもたらす2つの効果
以上のご回答から、馬油はしもやけの予防にはなるけれど、改善するほどの効果はないということがわかりました。
しかし、血流改善効果や、傷の治りをよくする効果が、少なからずしもやけによい効果をもたらしてくれるとも考えられます。その理由をまとめてみましょう。
3-1.血行を促進する
馬油は血行を促進して、しもやけを予防してくれる効果が期待できます。
その効果をもたらしてくれるのは、馬油に豊富に含まれているビタミンE。
ビタミンEには、末梢血管を広げて血流を促進する作用があるのです。
寒暖差の激しい時期に馬油を塗布することで、血行が促進されてしもやけの予防につながると考えられます。
手先が冷たくなりやすい人は、ハンドクリームの代わりに馬油を使うなどしてしもやけの予防をしてみてはいかがでしょうか。
3-2.掻き傷の治りをよくする
馬油は、新陳代謝を促進して傷の治りをよくする効果も期待できます。
しもやけによるかゆみがでてしまい、掻きむしって傷ができてしまったときに、その傷の回復のサポートになると考えられます。
ただし、赤みやかゆみ、腫れなどのしもやけの炎症自体を鎮めることはできません。
あくまで、しもやけによって掻きむしってしまったときの皮膚の傷の治りをサポートするだけです。
しもやけのかゆみによって皮膚を掻きむしってしまった方は、症状が治まってから皮膚のケアに使ってみてくださいね。
4.しもやけを治したい場合は皮膚科へ
以上のように馬油はしもやけの予防には効果がありますが、すでに進行してしまったしもやけを改善するには薬による治療が必要です。
「暖かくなったら治るだろう」
と我慢して放置していると、悪化して水ぶくれなどの症状につながる場合も考えられます。
気になった場合は、速やかに皮膚科を受診するようにしましょう。
皮膚科では、しもやけの進行具合によって、有効な外用薬や内服薬が処方されます。
また万が一別の皮膚疾患だった場合も、適切な処置をしていただけるでしょう。
改善への近道になるので、ご自身のしもやけの進行具合をチェックして判断してみてくださいね。
5. まとめ
今回は、しもやけの症状や原因、また馬油がしもやけに効果的な理由について詳しく解説してまいりました。
しもやけは、寒暖差による血行不良が原因。
血行を良くしてくれる馬油はしもやけの予防になると考えられます。
また掻きむしってしまった傷のケアにも効果的です。
しかし、すでに進行してしまったしもやけを治したい場合は皮膚科を受診することをおすすめします。
しもやけを悪化させないように、適切なケアを取り入れましょう。