数年前からスキンケア市場を騒がせている、しわ改善のスキンケア製品。
その有効成分にも熱い視線が注がれています。
なかでも今回取り上げたいのは、ナイアシンアミドとレチノール。
種類の違う2つの成分ですが、どちらもしわ改善の製品に配合されている成分です。
しわ改善に本気で取り組んでいるあなたは、こんな風に考えているかもしれません。
「ナイアシンアミドとレチノール、併用してみたらどうかな?」
確かに、この2つはしわに対する効果のアプローチが違います。
併用することでどんな効果が生まれるのか、気になるポイントですよね。
そこで今回は、しわと戦うアラフォー美容ライターの私が、ナイアシンアミドとレチノールの併用について詳しく解説!
この記事を読めば、次のようなことがわかります。
- ナイアシンアミドとレチノールを併用できる?
- ナイアシンアミドとレチノールを併用することで、どんな効果がある?
- どんな順番で塗ると効果が高い?
「化粧品をただ塗るだけでは、物足りない!」というあなた。
より積極的なケアで、年齢肌にアプローチしていきましょう♪
1.ナイアシンアミドとレチノールの違い
しわ改善の有効成分として注目を集めるナイアシンアミドとレチノール、一体どのような違いがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
1-1.ナイアシンアミドとは
まずは、ナイアシンアミドについて。
ナイアシンアミドは、次のような特性があります。
・ビタミンB3の一種
ナイアシンアミドとはビタミンB3の一種。「ニコチン酸アミド」と呼ばれることもあります。
以前から、広くスキンケア製品に配合されてきましたが、近年しわの改善効果が厚生労働省に改めて認められて、医学部外品の有効成分として注目を集めるようになりました。
・水溶性
ナイアシンアミドは水溶性の成分。
その名の通り、水に溶ける成分ということです。
そのため、化粧水にも配合することが可能。
みずみずしいテクスチャーの美容液も販売されています。
しわ改善コスメはクリームが主流でしたが、化粧水にも配合することができるナイアシンアミドの登場によって、しわ改善コスメのラインナップに広がりが生まれました。
ちなみに私もナイアシンアミドのクリームを使用したことがあります。
クリームですが、伸びがよく軽いテクスチャー。
朝にも使いやすく、顔全体に塗っても重くならないのも、ナイアシンアミドの魅力のひとつだと感じました。
・美容効果
ナイアシンアミドには、次のような美容効果が期待できます。
- しわ改善
ナイアシンアミドは、コラーゲンの生成を高める働きがあります。
肌にハリや弾力が生まれ、しわを改善する効果をもたらします。 - 美白効果
またナイアシンアミドは、メラニンが運ばれるのを抑制する効果があります。紫外線などにより、過剰に作られてしまったメラニンの輸送を阻止することで、シミが作られるのを防ぎます。 - バリア機能を高める
ナイアシンアミドは、セラミドを増やす効果があります。
セラミドとは、表皮にある細胞間脂質の主要成分。水分を挟み込んで、蒸発を防ぐ働きがあります。セラミドで満たされた肌は、バリア機能が高く肌荒れしにくくなります。 - 皮脂コントロール
ナイアシンアミドは、過剰な皮脂分泌を抑制する作用もあるといわれています。
・肌への刺激が少ない
ナイアシンアミドは、肌への刺激がほぼない安全性の高い成分。
肌が刺激に弱い方でも使いやすいというメリットがあります。
参考)Niacinamide: A B Vitamin that Improves Aging Facial Skin Appearanceン
1-2.レチノールとは
一方、レチノールは次のような特徴を持っています。
・ビタミンAの一種
レチノールとはビタミンAの一種。
肌荒れの有効成分として、広く化粧品に使われてきました。
レチノールは熱や酸素に弱く、不安定な成分ですが、大手化粧品メーカー資生堂が安定化に成功。2017年にしわ改善の効果効能が厚生労働省に認められました。
・脂溶性
レチノールは脂溶性の成分です。
そのため、油分の多いクリームや、クリーミーな美容液に配合されることが多く、テクスチャーもこっくりしていて重めのものが多いのが特徴です。
・美容効果
レチノールは、次のような美容効果が期待できます。
- しわ改善
レチノールは、ヒアルロン酸の生成を高めてしわを改善します。
比較的深いしわにも効果を発揮するというのが大きな魅力です。 - ターンオーバーの促進
レチノールには、ターンオーバーを促進する効果があります。
不要な角質がスムーズに排出されることで、シミやくすみの予防効果が期待できます。
・肌への刺激がある
レチノールは、やや肌への刺激がある成分です。
理由はターンオーバーが早くなるから。
ターンオーバーが早まることによって、不要な角質の排出が盛んになります。
しみやくすみが改善できるというメリットもありますが、一方で皮剥けのような症状が出ることもあり、バリア機能が弱まって刺激を感じやすくなってしまうのです。
とくに肌が敏感な方は炎症を起こす可能性もあるので、肌のコンディションが良い日に低濃度のレチノールクリームから始めるなど、使用の注意が必要です。
参考)Improvement of naturally aged skin with vitamin A (retinol)
1-3.ナイアシンアミドとレチノールの比較表
最後に、ナイアシンアミドとレチノールの特徴を表にして比較してみましょう。
ナイアシンアミド | レチノール | |
分類 | ビタミンB3 | ビタミンA |
性質 | 水溶性 | 脂溶性 |
美肌効果 | ・しわ改善
・美白 ・バリア機能を高める ・皮脂コントロール |
・しわ改善
・ターンオーバーの促進 ・酸化ストレスの軽減 |
医薬部外品の有効成分 | ○ | ○ |
皮膚刺激性 | ほぼなし | やや刺激がある |
2.ナイアシンアミドとレチノールは併用できる!
このように、同じ医薬部外品の有効成分ですが、全く異なる性質を持つナイアシンアミドとレチノール。
「この2つの成分がそれぞれ配合された製品を、一緒に使っていいの?」
というのが、今回の記事で取り上げたい議題でしたよね。
結論から申し上げますと、ナイアシンアミドとレチノールは併用できます!
その理由を詳しくみていきましょう。
2-1.しわへの作用が違うから併用できる
同じしわ改善効果が認められているナイアシンアミドとレチノール。
両者はしわへのアプローチが全く違います。
・ナイアシンアミドは真皮層のコラーゲンの生成を高める
私たちの肌は、次の3つの層でできています。
真ん中の真皮層には、ハリや弾力を保つコラーゲンが存在します。
しかし加齢や紫外線が原因で、コラーゲンは減少。
肌のハリや弾力が低下して、しわやたるみが起きてしまうのです。
このハリや弾力に欠かせないコラーゲンの生成を高めてくれるのがナイアシンアミド!
加齢や紫外線の影響で減少してしまうコラーゲンを増やすことで、ハリや弾力のある肌を目指すことができるのです。
化粧品は一般的に表皮までしか効果がないと言われてきましたが、このように真皮層にも働きかけてくれる成分があるんですね。
・レチノールは表皮ヒアルロン酸の生成を高める
一方、レチノールはヒアルロン酸に作用する成分。
ヒアルロン酸は、水分を保持して、肌に弾力をもたらしてくれる成分です。
1gで6リットルもの水分を蓄えていると言われています。
このヒアルロン酸も、加齢によって減少。
レチノールを塗布することで、ヒアルロン酸の生成が活発になり、水分がしっかり保たれてハリが甦るというわけです。
ヒアルロン酸注射などの美容医療はハードルが高いと感じる方が多いと思いますが、このような医薬部外品を使って自宅でヒアルロン酸の生成を高められるのはうれしいですよね。
このように、ナイアシンアミドとレチノールは、しわに対して全く違うアプローチをしていきます。
そのため、2つを同時に使うことは問題ないのです。
2-2.刺激を和らげる効果も
ナイアシンアミドとレチノールの併用は、可能なだけではありません。
併用することで、うれしいメリットもあります。
それは「肌への刺激が和らぐ」という点。
レチノールは、しわへの効果が高いものの、やや刺激がある成分。
ゆらぎ肌の方、敏感肌やアトピー性皮膚炎の方にとっては、ハードルの高い成分でしたよね。
しかし、このナイアシンアミドを一緒に使うことによって、レチノールの刺激を和らげることができるのです。
併用によって、しわへの高い効果が狙えるだけでなく、肌への刺激も低減できるのはうれしいメリットといえるでしょう。
3.ナイアシンアミドとレチノールの効果を最大限にするための塗り方
さて、ナイアシンアミドとレチノールは併用できるということがわかったところで、次は使い方についてご説明します。
3-1.ナイアシンアミド→レチノールの順で塗る
それぞれ効果のある成分ですから、正しい使い方を覚えて最大限の効果を引き出したいですよね。
そこで、意識したいのは「塗る順番」。
まずは、ナイアシンアミド配合の製品を先に塗ります。
その後、レチノール配合のスキンケア製品を塗るようにしましょう。
3-2.ナイアシンアミド→レチノールの順で塗る理由
なぜこの順番で塗ると、肌への効果が上がるのでしょうか。
それには、次の3つの理由が考えられます。
・ナイアシンアミドがレチノールの刺激を和らげるから
まずひとつめが、肌への刺激緩和。
先述したように、ナイアシンアミドはレチノールの刺激を和らげる作用があります。
レチノールは、ターンオーバーの促進によって角層がコンパクトになり、バリア機能が弱まるという性質がありました。
一方、ナイアシンアミドはセラミドを増やすことでバリア機能を高めてくれる効果があります。
以上のことから、ナイアシンアミド配合のスキンケア製品を塗り、その後にレチノール配合のスキンケア製品を塗るとよいと考えられます。
余談ですが、よりレチノールの刺激を低減させたい場合は、セラミド化粧品を追加するのもおすすめ。
たとえばこちら
ピュアセラ美容オイル
ヒト型セラミドが配合されており、ブースターとしても使用できるオイルです。
ブースターを肌に一番に塗って、バリア機能を高めておくことができるので、レチノールの刺激を和らげることができるのではないかと考察しています。
例えば
ブースターでセラミド美容液→ナイアシンアミド配合の化粧水→乳液→レチノール配合のクリーム
といったような順番で塗ってみたら、より刺激が抑えられるのではないかと思います。
・できるだけ浸透させたいから
そしてもう一つは、できるだけ有効成分を浸透させたいからです。
私たちの肌の一番外側にある表皮は、次のような構造をしています。
一番外側にあるのは、バリア機能という働きをもつ角質層。
化粧品は基本的にこの角質層までしか浸透しないようになっています。
しかし、ナイアシンアミドのように真皮にも働きかけてくれる成分もあります。
せっかくそのような有効成分を塗布するわけですから、しっかり浸透させて効果を最大限に高めたいですよね。
そこで、注目したいのがそれぞれの性質。
ナイアシンアミドは水溶性、レチノールは脂溶性という、全く違う特質を持っています。
そして、前提として角質層は水分を通しにくく、真皮に向かって奥に行くほど水となじみやすい、という特徴があります。
ナイアシンアミドを先に塗り、そのあとにレチノールを塗ることで、水溶性のナイアシンアミドは、より水分を感じられる奥へ動いていこうとするのです。
わざと居心地の悪い状況を作って、角層内部への移動を促すというメカニズムですね。
なんだか意地悪なことをしているような気がしてしまいますが(苦笑)
これで、ナイアシンアミドを上手く浸透させられるというわけです。
一方、レチノールは、脂溶性なので角質層となじみやすい性質があります。
しかし、あとから乳液やクリームを塗るとそこでなじみすぎてしまい、肌に浸透しなくなってしまいます。
そのため、先に乳液やクリームを塗り、そのあとにレチノールを塗るようにします。
・塗布しやすいから
またこれは個人的な感想ですが、単純にナイアシンアミド→レチノールのほうが「塗布しやすい」と感じました。
ナイアシンアミドは化粧水、ジェル、クリームなどいろいろなラインナップがありますが、たとえクリームでもみずみずしいテクスチャー。
一方、レチノール配合クリームはこっくりとリッチなテクスチャーなので、伸びがいいものを先に、そしてリッチなクリームで仕上げるという方が、塗りやすいと感じました。
3-3.製品タイプ別の塗る順番
以上のことを踏まえて、ナイアシンアミドの製品タイプ別に大まかな順序をまとめてみたいと思います。
- ナイアシンアミド配合化粧水の場合
ナイアシンアミド化粧水→乳液(→クリーム)→レチノール化粧品 - ナイアシンアミドがクリームの場合
化粧水→乳液→(→クリーム)→ナイアシンアミド配合クリーム→レチノール配合クリーム
もちろん、メーカーが提唱している順番などがあれば、そちらに従ってくださいね。
4.まとめ
しわ改善の有効成分として認められているナイアシンアミドとレチノール。
今回は、両者の併用について解説してきました。
肌への作用が異なるナイアシンアミドとレチノールは、併用することができます。
しかも、レチノールの皮膚への刺激を和らげるという、うれしいメリットもありました。
効果を最大限にするために、意識したいのは塗る順番。
最初にナイアシンアミドのスキンケア製品を塗って、そのあと、レチノール配合のスキンケア製品を塗ることで、皮膚への刺激を緩和できて、浸透もよくなります。
各社がしのぎを削って、成長し続けるしわ改善コスメの市場。
上手に「併用」することで、一歩上の美肌を手に入れてみてはいかがでしょうか♪