ワセリンを塗ったら顔が黒くなる……!
そんな噂を耳にしたことはありませんか?
ワセリンは、赤ちゃんの肌にも使えるほど優しい保湿剤。
そんなワセリンで顔が黒くなってしまうなんて、一体どういうことなのでしょうか。
今回は、そんな「ワセリンで顔が黒くなる」という噂の真相を解明。
ワセリンメーカーに問い合わせをして、本当に黒くなってしまうのかを訊いてみました!
- どうしてワセリンで、顔が黒くなるの?
- どんなワセリンでも、顔が黒くなってしまうの?
- ワセリンで顔が黒くなった時の対処法を知りたい
- 顔が黒くならないワセリン選び方は?
- ワセリンの正しい塗り方を知りたい
以上のような疑問を、解決していきたいと思います。
ワセリンをスキンケアに使っている人、ワセリンで顔が黒くなるのを心配している方も、ぜひ最後までご覧くださいね。
1.ワセリンとは
ワセリンとは、一体どのようなものなのでしょうか。
まずは、その概要をチェックしておきましょう。
1-1.石油由来の保湿剤
ワセリンとは、石油由来の保湿剤。
石油という響きから、肌に悪そうな印象を与えてしまいますが、実は肌にとてもやさしいのがワセリンの大きな特徴です。
原油に含まれる肌に刺激になる成分を、ほとんど除去して作られているので、安心して肌に塗布することが可能。デリケートな赤ちゃんの肌や敏感肌の人でも使える保湿剤として、重宝されています。
1-2.ワセリンの効果
ワセリンには、保湿効果があります。
保湿といっても、「水分を与える作用」と「水分の蒸発を防ぐ作用」がありますが、ワセリンは後者。
ワセリンを肌に塗ってもほとんど吸収されませんが、皮膚をコーティングして水分の蒸発を防ぐことができます。
2.ワセリンで顔が黒くなる=油焼け
そんな安心安全な保湿剤・ワセリンで、肌が黒くなってしまうとは、どういうことなのでしょうか。
その理由を深掘りしていきましょう。
2-1. ワセリンで顔が黒くなるのは「油焼け」
ワセリンで肌が黒くなるのは、「油焼け」という現象です。
油焼けとは、肌に塗った油分が紫外線や熱で酸化して、肌に色素沈着を起こしてしまう現象のこと。
酸化した油分は、肌に大きなダメージを与え、しみやくすみを引き起こしてしまうのです。
2-2.油焼けは精製度が低いものだけ起こる
数ある油性の保湿剤の中で、なぜ「ワセリンは油焼けが起こる」と噂されているのでしょうか。
それは、ワセリンに不純物が多く含まれていた時代があったから。
精製技術がまだ発達していなかった数十年前、今ほど純度が高くないワセリンが出回っていたのです。
「ワセリンで肌が黒くなる」という現象が起こったのはその時代の話。
精製技術が上がった現代では、ほとんど油焼けは起こらないといわれています。
ちなみにワセリン以外でも、酸化しやすいオイルは、油焼けの可能性があるので注意が必要です。
3.ワセリンの種類
ワセリンで油焼けが起こるか起こらないかは、精製度がポイント。
純度が高ければ高いほど、油焼けの可能性は低くなります。
ワセリンは次の4種類に分類されるので、ご購入の際はチェックしてみてくださいね。
3-1.黄色ワセリン
4種類の中で、最も純度が低いのが黄色ワセリン。
最も安価ですが、不純物が多く含まれています。
とくに黄色味が強いワセリンは、精製度が低く不純物が多く含まれているので、油焼けを引き起こす可能性も。
紫外線にさらされやすい顔に塗るのは、避けたほうがよいでしょう。
3-2.白色ワセリン
黄色ワセリンをさらに精製したのが『白色ワセリン』。
スキンケア用としてドラッグストアなどに置かれているのは、たいていこの白色ワセリンです。
赤ちゃんの肌にも使えるほど純度が高く、使いやすい製品です。
3-3.プロペト
白色ワセリンの純度をさらに高めたのが『プロペト』。
市販されていますが、医療機関で処方されることもあります。
皮膚の薄い目の周りやデリケートゾーンなど、敏感な部分にも使えるほど安全なワセリンです。
3-4.サンホワイト
プロペトをさらに精製したのが『サンホワイト』。
4種類の中で最も純度が高いワセリンです。
ドラッグストアではあまり置かれていませんが、先日調剤薬局で販売されているのを見かけました。医療機関で処方されることもありますが、保険適用外のようです。
3-5.油焼けを避けるなら白色ワセリン以上を
以上の違いから、精製度が高いのは
- 白色ワセリン
- プロペト
- サンホワイト
の3種類。
油焼けを避けるためには、この3種類のワセリンを使うことをおすすめします。
4.ワセリンのメーカーに問い合わせてみた
とはいえ、絶対に油焼けが起こらないのか心配ですよね。
そこで、ワセリンで本当に油焼けが起こらないのか、ワセリンを製造しているメーカー2社に問い合わせをしてみました。
4-1.ユニリーバ様に問い合わせ
まずは、誰もが見たことあるこのパッケージ『ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー』を製造されているユニリーバ様に、次のような問い合わせをしてみました。
「精製度の低いワセリンを塗ると、油焼けが起こると聞きましたが、本当でしょうか?またその際の対処法などを教えていただけると幸いです。」
すると、ユニリーバお客様相談室様から、次のような回答をいただきました。
弊社ヴァセリン製品はワセリン精製度が高い製品でございます。
油焼けが起こる事はございませんのでぜひご安心して製品をご使用くださいませ。もしお肌の異常が起きた際には、お手数ですがお近くの皮膚科医様へご相談くださいませ。
ユニリーバ様のヴァセリン製品は精製度が高いので、油焼けは起こらないとのことでした。
やはり「精製度」が大きなポイントのようですね。
ちなみに『ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー』はやや黄味がかった色をしていますよね。これは、黄色ワセリンなのか、白色ワセリンなのか、判断が難しいところ。
公式サイトや商品のパッケージにも、とくに記載されていません。
この件について、再度メーカーに電話で問い合わせをしてみました。
すると次のような回答をいただきましたよ。
『ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー』はアメリカからの輸入品で、アメリカでは白色ワセリン、日本では黄色ワセリンに分類されています。ただし、十分に精製されているので油焼けの心配はありません
どうやら国によって、分類の基準が違うようですね!
『ヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリー』は日本では黄色ワセリンに分類されているものの、十分精製されている製品なので、問題なく使えるとのことでした。
4-2. 健栄製薬株式会社様に問い合わせ
さらに、産後ママなら誰もが知っている『ベビーワセリン』を製造されている健栄製薬株式会社様にも同じ内容の問い合わせをしてみました。
すると、おくすり相談窓口から次のような返信をいただきました。
ワセリンで油焼けを起こす可能性は極めて低いと考えております。
現在流通しているワセリンは品質がよいものですので、日常生活では油焼けの心配はございません。ただ、紫外線を強く浴びるような処置(日焼けサロンなどに通う)をした場合は別です。
もし、色素沈着が起きた場合は、お肌の新陳代謝を促してください。
やはり、現在流通しているものは精製度が高く、油焼けの心配はなさそうですね。
しかし、注意すべきことも書かれていました。
日焼けサロンに通うなど、強い紫外線を浴びた場合は、色素沈着を起こす可能性もあるというのです。
以上のことから、たとえ白色ワセリンでも、強い紫外線を浴びるときは注意したほうがよさそうだと感じました。
5.油焼けを防ぐワセリンの使い方
油焼けを起こさないように、ワセリンを使うときにはいくつかの注意点があります。
スキンケアに取り入れる際は、意識してみてくださいね。
5-1.顔には白色ワセリンを
精製度の高いワセリンを使えば、油焼けは起こりません。
肌に塗る際は、白色ワセリン以上のものを使うようにしましょう。
とくに顔は、紫外線を浴びやすく、皮膚が薄いので、ダメージを受けやすいパーツ。
精製度をポイントに、製品を選んでくださいね。
5-2.スキンケアの最後に
ワセリンは、スキンケアの最後に使うのがおすすめ。
ワセリンはほとんど皮膚に浸透しませんが、皮膚をコーティングすることで内側の水分の蒸発を防いでくれます。
最初に化粧水でしっかり水分を与えたあとに、ワセリンを塗ることで、高い保湿効果を得られるでしょう。
美容液や乳液を使う際も、ワセリンは最後でOK。
ごく少量のワセリンを塗って、スキンケアの完了です。
ただし、赤ちゃんの肌に塗る場合は、ワセリンだけでOK。
入浴後の清潔な肌に、やさしくワセリンを塗ってあげましょう。
なかでも『ベビーワセリン』のように赤ちゃん用に製造されているワセリンは、柔らかいテクスチャー。温度の低い冬季でもあまり硬くならず、全身に塗布しやすいのでおすすめです。
5-3.少量だけ塗る
ワセリンを大量に塗ると、油分が過剰になり、油焼けを起こす可能性が高まります。
またテクスチャーも重いので、ベタベタな仕上がりに。
ワセリンはリーズナブルなのでたっぷり使いたくなりますが、少量だけ塗るようにしましょう。
量は、米粒2つ分くらいでOK。
スキンケアの最後に、米粒2つ分くらいのワセリンを取り、両手をこすり合わせます。
ワセリンが行き渡った手で顔を包み込むようにして、ハンドプレスしながら塗布してくださいね。
5-4.ニキビの上には塗らない
ワセリンは、毛穴を詰まらせてニキビの炎症を悪化させてしまう可能性があります。
ニキビがある場所は避けて塗るようにしましょう。
ただし、乾燥が原因でニキビができやすい方は、スキンケアに取り入れるのも有効。
肌は乾燥しすぎると、過剰な皮脂分泌によって肌を守ろうとします。
それによって、毛穴が詰まってニキビができることも。
そのような方は普段から乾燥しないようにスキンケアに取り入れることで、ニキビ予防にも繋がります。化粧水でしっかり保湿したのち、ワセリンを仕上げとして使ってみてくださいね。
5-5.強い紫外線を浴びる際は、塗らないのがベター
健栄製薬株式会社様がおっしゃっていたように、日焼けサロンのように紫外線をしっかり浴びる際は注意が必要。
日焼けサロンは、UV-Bがカットされているのでシミなどの肌の炎症が少ないといわれていますが、それでも肌へのダメージが全くないとは言い切れません。
たとえ精製度の高いワセリンでも、日焼けサロンに行く前には塗らないほうがよいでしょう。
またビーチで遊んだり、炎天下でのスポーツを行う際も、強い日焼けが起こる可能性があります。
そのような日は、まずは日焼け止めをしっかり塗って、肌を守ることが大切。
紫外線の強い時期は、ワセリンを夜のスキンケアで使うようにするなど、うまく調整してみてくださいね。
5-6.ボトルタイプはスパチュラを使う
ワセリンは、チューブタイプのものとボトルタイプのものがあります。
注意したいのは、ボトルタイプのもの。
大容量でコスパはいいですが、手の雑菌が混入して製品が劣化しやすくなります。
スパチュラを使って、直接触れないようにしましょう。
5-7.保管に気をつける
ワセリンを保管する際も注意したいポイント。
直射日光の当たる場所や高温多湿の場所に保管したり、蓋を開けっ放しにしておくと酸化してしまいます。
使用後はしっかりと蓋を閉めて、風通しがよく、直射日光の当たらない冷暗所で保管しましょう。
5-8.開封後はすみやかに使い切る
ワセリンを開封した後は、すみやかに使い切ることも大切。
空気に触れると酸化して、製品の劣化につながります。
ワセリンを塗布するのは少量でOKなので、なかなか減りませんが、開封後1年をめどに使い、余った分は破棄するようにしましょう。
6. 油焼けが起きてしまったら皮膚科へ
現在、流通している製品は、ほとんど油焼けが起こらないとはいえ、万が一起こってしまった場合は、皮膚科へ行くことをおすすめします。
自己判断で処置をすると、症状が悪化したり、思わぬ肌トラブルに見舞われる可能性があります。
3つの製品の裏面をそれぞれ確認しましたが、いずれも黒ずみが起こったときは皮膚科等に相談するように記載されています。
症状を最小限に留めるために、医師の指示に従い適切なスキンケアを行ってくださいね。
7. まとめ
今回は、「ワセリンで顔が黒くなる」という噂の真相に迫ってみました。
ワセリンで顔が黒くなるのは「油焼け」という現象。
精製度が低いワセリンを肌に塗って紫外線を浴びると、酸化して油焼けが起こる可能性があります。
油焼けを防ぐためには、精製度の高い製品を使うことが大切です。
現在、世の中に流通しているものは精製度が高いので、あまり油焼けの心配がないといわれていますが、強い紫外線を浴びる際などは、十分注意して使用しましょう。
また、万が一油焼けを起こしてしまったときは、皮膚科にご相談ください。
安全でリーズナブルなワセリン、正しい使い方でスキンケアに取り入れていきましょう。