酸化亜鉛は肌に悪い?「毛穴を塞ぐ」「ニキビや肌荒れの原因になる」など、気になる噂を解明
日焼け止めをはじめ、さまざまな化粧品に使われている酸化亜鉛。
その酸化亜鉛が最近SNSを賑わせています。
「酸化亜鉛は毛穴を塞ぐらしい!」
「酸化亜鉛は、ニキビや肌荒れの原因になるって本当!?」
「金属アレルギーの人は酸化亜鉛を使わない方がいい」
そんなさまざま噂が出回り、 酸化亜鉛を避ける人が増えているのだとか。
実際、「酸化亜鉛フリー」をウリにした日焼け止めなども発売されているくらいです。
やはり、酸化亜鉛は肌に悪いものなのでしょうか?
今回は、そんな酸化亜鉛にまつわる噂を詳しく解明していきたいと思います。
  • 酸化亜鉛が合わない人はどんな人?
  • 酸化亜鉛は乾燥肌でも使える?
  • 酸化亜鉛のデメリットは?
  • 酸化亜鉛は肌にどんなスキンケア効果がある?
  • 酸化亜鉛はニキビができる?
  • 酸化亜鉛と酸化チタンの違いは?
  • 酸化亜鉛は毛穴詰まりを引き起こす?
  • 酸化亜鉛は毛穴の黒ずみの原因になる?
  • 毛穴の黒ずみを解消するクレンジングや洗顔の方法は?
以上のような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考になさってくださいね。

1.酸化亜鉛とは

.酸化亜鉛とは
そもそも酸化亜鉛とは一体どのような成分なのでしょうか。
その特徴をチェックしていきましょう。

1-1.粉末状の無機化合物

酸化亜鉛とは、亜鉛と酸素からなる化合物のこと。
「ZnO」という化学式で表されます。
形状は、白い粉末状。
安定性が高く、多様な性質を持つことから、化粧品、医薬品、工業製品や電子機器など、さまざまな用途で、長年使用されてきました。

1-2.酸化チタンとの違い

酸化亜鉛と似た性質をもつ成分として、酸化チタンが挙げられます。
酸化チタンは、チタンと酸素からなる化合物。「TiO2」という化学式で表されます 。
酸化亜鉛と同じく、化粧品、医薬品、工業製品などさまざまな分野で使用される成分。
いずれも紫外線散乱効果がありますが、それぞれのカットできる波長の範囲には違いがあります。
酸化亜鉛は、UV-AからUV-Bまで広範囲の紫外線をカット。
一方、酸化チタンは、カットできる波長の範囲が狭く、主にUV-Bと一部のUV-Aが対象になります。
そのため、紫外線散乱効果のある日焼け止めは、一般的に酸化亜鉛と酸化チタンを組み合わせて配合されている場合が多いです。

2.酸化亜鉛が使われる化粧品とその効果

酸化亜鉛が使われる化粧品とその効果
酸化亜鉛は、次のようにさまざまな化粧品に使われています。
その効果と共にご紹介していきます。

2-1.日焼け止め

酸化亜鉛が使われる化粧品として、まず挙げられるのが日焼け止め。
紫外線カット剤には、主に紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があります。
酸化亜鉛は、後者。
紫外線を物理的に跳ね返す働きがあり、それにより日焼け止め効果を発揮します。
またUV-AからUV-Bと、幅広い波長の紫外線を散乱することや、肌への負担が少ないことなども大きな魅力です。

2-2.化粧下地やファンデーション

酸化亜鉛は、化粧下地やファンデーションにも使われます。
それには次のようないくつかの理由があります。

・崩れにくくなる

酸化亜鉛は、吸油性のある成分。
皮脂を吸収して、メイクを崩れにくくする効果が期待されます。

・肌のトーンを均一にする

また酸化亜鉛は、肌のトーンを均一にする効果もあります。
粒子が肌に均一になじむことで、美しく滑らかな仕上がりになるのです。

・肌を保護する

酸化亜鉛が肌を保護するという特性も、化粧下地やファンデーションに使われる理由のひとつ。
紫外線や空気中の汚染物質から肌を守る効果が期待されます。

2-3.乳液やクリーム

酸化亜鉛は乳液やクリームなどのスキンケア製品にも、配合されることがあります。
それには、いくつかの理由があります。

・皮膚を保護する

酸化亜鉛は、薄い膜を貼ることで、外的刺激から肌を保護する効果が期待できます。

・抗炎症作用

酸化亜鉛は、抗炎症作用も認められている成分。
抗炎症効果がある乳液やクリームに配合されている場合があります。

2-4.ボディパウダーや制汗剤

酸化亜鉛は、ボディパウダーや制汗剤にも、配合されることがあります。
そこに期待されるのは、酸化亜鉛の収れん作用。
酸化亜鉛が肌に塗布されることで、毛穴を引き締め、皮脂の分泌を抑制する効果が期待されます。
それにより、汗や皮脂でべたついた肌をさらさらにしてくれます。

3.酸化亜鉛は本当に肌に悪い?

酸化亜鉛は本当に肌に悪い?
以上のようにさまざまな効果が期待される酸化亜鉛。
しかし、近年では「酸化亜鉛は肌に悪いのでは?」という意見が見られ、酸化亜鉛フリーをウリにした化粧品も発売されています。
そこで酸化亜鉛が肌に悪いと言われる理由と、それに対する見解をお伝えしていきます。

3-1.酸化亜鉛は毛穴を詰まらせて、黒ずみやニキビの原因になる?

まずクローズアップしたいのが「酸化亜鉛は毛穴を詰まらせる」という噂。

酸化亜鉛は皮脂と混ざると固まる性質があるので、その性質を利用して皮脂崩れを防ぐ目的で化粧下地やファンデーション等に配合されることがあります。そのため、「酸化亜鉛と皮脂が混ざって硬くなり、毛穴を塞ぐのでは?」と考えられているようです。

毛穴が詰まってしまうと、角栓が酸化して黒ずんだり、皮脂が溜まってアクネ菌が増殖することでニキビが引き起こされることがあります。
酸化亜鉛は、そのようなトラブルと関係があるのでしょうか。
私は、「そこまでの影響力はない」と考えます。
というのも、粉体の酸化亜鉛はベタベタの皮脂と混ざり合い、ドロッとした柔らかい状態になると言われています。毛穴を塞いでしまうほどの硬さはなく、クレンジングや洗顔を正しく行えば、毛穴を詰まらせてしまう可能性は低いと言えるでしょう。
むしろ、収れん効果により、皮脂の過剰な分泌を抑制するため、毛穴の詰まりを防ぐのではないかと考えます。
ではなぜ、SNSを中心に「酸化亜鉛が毛穴を詰まらせる」という意見が広がっているのでしょうか。
それには、次のようないくつかの理由が考えられます。

・不適切なクレンジングや洗顔

まず考えられるのが、不適切なクレンジングや洗顔。
メイクアップ化粧品や日焼け止めは、酸化亜鉛の有無にかかわらず、しっかり落とせていないと、毛穴詰まりの原因になります。
それにより、ニキビや毛穴の黒ずみが引き起こされて、「もしかしてSNSで見かけた、あの酸化亜鉛が原因なのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
酸化亜鉛の有無にかかわらず、正しいクレンジングと洗顔を行うことが、毛穴詰まりを起こさないためには大切。
のちほど、正しいクレンジングと洗顔の方法をご紹介しますので、参考になさってくださいね。

・皮脂が過剰に多い人が、酸化亜鉛が高濃度で含まれた製品を使った場合

皮脂分泌が過剰なオイリー肌の人は、そもそも毛穴が詰まりやすい傾向に。
そのような方が、酸化亜鉛が高濃度で含まれた製品を使い、一部が硬くなって毛穴を塞ぐ可能性も否めません。
このように肌質や酸化亜鉛の濃度によっては、毛穴詰まりを引き起こす可能性もあると考えます。
いずれにせよ、正しいクレンジングと洗顔で、適切にオフすることが毛穴詰まりを回避する方法となります。

3-2.金属アレルギーの人は、酸化亜鉛の化粧品は避けるべき?

また、酸化亜鉛配合の化粧品でアレルギー反応が出てしまうのではないかと、心配する声もあるようです。
しかし、一般的に、金属アレルギーの原因となるのはニッケルやクロム。
酸化亜鉛は金属アレルギーを引き起こすリスクが低いとされています。
とはいえ、すべての人にとって、絶対にアレルギー反応が出ないということはありません。
アレルギー反応が心配の方は、パッチテストを行い、反応が出ないことを確かめてから取り入れましょう。

4.酸化亜鉛が合わない人はどんな人?

酸化亜鉛が合わない人はどんな人?
以上のように、肌に悪い影響を及ぼすとは考えにくい酸化亜鉛。
しかし、酸化亜鉛配合の化粧品が合わない人もいるでしょう。
どのような人が合わない人なのか、チェックしてみましょう。

4-1.過度な乾燥肌の人

酸化亜鉛は、過度な乾燥肌の人は注意が必要。
皮脂吸着効果があるため、ファンデーションなどはさらっとした仕上がりになり、人によっては乾燥を感じる場合も。
皮脂の多いTゾーンだけにするなど、肌が乾燥しすぎないように調整しながら取り入れましょう。

4-2.白浮きを避けたい人

酸化亜鉛は、白浮きを避けたい人にもおすすめできません。
酸化亜鉛は、微粒子が表面に白い膜を形成して光を散乱します。
そのため、酸化亜鉛が高濃度で配合されている日焼け止めなどは、白浮きしやすい傾向にあります。
日焼けをしている人や、もともと褐色肌の方などは、白い膜が不自然に見えてしまうこともあるので、注意しましょう。

5.正しいクレンジングと洗顔

正しいクレンジングと洗顔
酸化亜鉛が毛穴の詰まりを引き起こす可能性は低いものの、不適切なクレンジングや洗顔によって、毛穴が詰まってしまうことは考えられます。
ここで、毛穴詰まりを引き起こさないための、正しいクレンジングと洗顔方法をお伝えしていきます。

5-1.クレンジング

まずは、毛穴に詰まらせないためのクレンジングのポイントをご紹介します。

・帰宅後、なるべく早くクレンジングを

毛穴詰まりを回避するためには、帰宅後、なるべく早くクレンジングをすることをおすすめします。
メイクが肌に長時間乗っていると、皮脂とメイクアップ化粧品が混ざり合い、毛穴詰まりを引き起こす可能性が高くなります。
メイクを落とさずに寝るのは、もってのほか。
メイクアップ化粧品や肌の汚れと混ざった皮脂は、過酸化脂質という物質に変化して、ニキビや肌荒れの原因となります。
帰宅後、手洗いやうがいと共に、メイクオフする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。

・メイクの濃さに合わせてクレンジングを選ぶ

メイクの濃さに合わせてクレンジングを選ぶ
どんなクレンジングを使うのかも大切。
クレンジング剤は、さまざまな種類がありますが、それぞれメイク落ちや肌への負担が異なります。
たとえば、クレンジングオイルは、メイク落ちはいいのですが、必要な皮脂まで奪い取る可能性もあり、乾燥のリスクがあります。
一方で、クレンジングミルクは、肌にうるおいを残してくれますが、メイク落ちが悪く、濃いメイクのときは不向きです。
このようなクレンジング剤の特性を理解して、その日のメイクの濃さに合わせて、クレンジング剤をセレクトするようにしましょう。

5-2.洗顔

次に、毛穴詰まりを回避する洗顔方法をご紹介します。

・1日2回

洗顔は、朝晩2回でOK。
皮脂が気になって何度も洗顔をするのは、逆効果です。
洗顔をしすぎると、肌が一時的に乾燥。その乾燥から肌を守ろうと、余計に皮脂を分泌させてしまいます。とくにオイリー肌の方は要注意。1日2回だけ、丁寧な洗顔をこころがけましょう。

・ゴシゴシしない

また、ゴシゴシ洗顔もNG。
肌摩擦を引き起こして、それがシミやくすみ、ニキビなどあらゆる肌トラブルの原因となるのです。
しっかり泡立てて、泡をもふもふと押し洗いしましょう。

・酵素洗顔

毛穴の詰まり、黒ずみが気になる方は、酵素洗顔を取り入れるのも一手。
酵素は、皮脂や古い角質にアプローチして、角栓をオフしやすくしてくれます。
一般的な洗顔料でなかなか黒ずみが改善しないという方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
ニキビが気になる方は、こちらの記事にて正しい洗顔方法を解説しておりますので、併せてチェックしてみてくださいね。
また、しっかりクレンジングや洗顔をしているけれど、毛穴の黒ずみがなかなか治らないと言う方は、詰まりタイプの黒ずみではない可能性も。こちらの記事にて、タイプ別の毛穴の黒ずみ対策を解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

6. まとめ

今回は、「酸化亜鉛は肌に悪いのか」という噂にクローズアップ。
酸化亜鉛は皮脂を吸着する性質がありますが、毛穴を塞いでしまうほどの影響力はないと考えられます。
しかし、不適切なクレンジングや洗顔、個人の肌質や酸化亜鉛の濃度によって、毛穴が詰まってしまうことも。
毛穴を詰まらせないためには、正しいクレンジングや洗顔が大切です。
まずは、毎日のクレンジングや洗顔を見直してみてくださいね。
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