
ビタミンCの何倍もの抗酸化力を持つと言われているフラーレン。
エイジングケア成分として、話題を呼んでいます。
今回は、なぜフラーレンが注目を集めているのか、その理由にクローズアップ。
また、フラーレン配合の製品を選ぶ際のポイントや注意点なども解説していきます。
- フラーレンって何?
- フラーレンはどんな効果がある?
- ビタミンCとフラーレンの違いは何?
- フラーレンの効果的な使い方は?
- フラーレンの化粧品って危険?
以上のような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考になさってくださいね。
1.フラーレンとは

フラーレンとは、一体どのような成分なのでしょうか。
その概要をチェックしていきましょう。
1-1.炭素の塊
フラーレンは、炭素の原子が結合してできた物質のこと。
炭素原子が結合して、サッカーボールのような独特の形をしているのが特徴です。
1985年に科学者たちによって発見され、発見した研究者たちは1996年にノーベル化学賞を受賞しています。
1-2.さまざまな分野で活躍
フラーレンは、高い安定性や独特な形状をもつ物質。
その特性を活かして、次のようなさまざまな分野で応用されています。
- スキンケア製品
- 医薬品
- 電子材料
- 太陽電池など
2.フラーレンが注目される理由

フラーレンが注目を集めている最大の理由は、高い抗酸化作用。
どのような抗酸化作用を持っているのか、掘り下げていきましょう。
2-1.抗酸化成分とは
体内では紫外線や摩擦、ストレスなどさまざまな刺激により、「活性酸素」が生成されます。
活性酸素は必要不可欠なものですが、増えすぎると、健やかな肌にまでダメージを与えてしまう厄介者。
メラニンを生成してシミを作ったり、コラーゲンやエラスチンを変性させてしわやたるみを引き起こすなど、さまざまな肌老化の原因となります。
この活性酸素の働きを抑えてくれるのが、今回ピックアップしているフラーレンなどの抗酸化成分なのです。
2-2.フラーレンによる抗酸化作用のメカニズム
よくフラーレンは、「ビタミンCの100倍以上の抗酸化力」などと表現されますが、ビタミンCなどの一般的な抗酸化物質とは違ったアプローチで活性酸素を除去します。
ビタミンCなどの抗酸化物質は、自ら酸化することで、肌を酸化から守ります。
そのため、一度酸化するとそこで効力を失います。
一方、フラーレンは、活性酸素自体を吸着したり分解することで、抗酸化作用を発揮。
すぐに効力を失うわけではないので、持続力が高いのが特徴です。
2-3.抗酸化作用による美肌効果
では具体的に、抗酸化作用によってどのような美肌効果が期待できるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
・美白効果
紫外線を浴びたり、摩擦を受けると、肌は内部を守ろうとメラニンを生成させます。
抗酸化物質は、このメラニン生成を促す活性酸素を抑制。
シミや色素沈着の予防に役立ちます。
・しわ、たるみの予防
波長の長いUV-Aは、真皮層へ到達。活性酸素を発生させて真皮層にあるコラーゲンやエラスチン変性させてしまいます。
抗酸化物質は、活性酸素を抑制することで、しわやたるみを防ぎます。
3.フラーレンの懸念事項

以上のように、うれしい美肌効果が期待できるフラーレン。
素晴らしい美容成分だと思われがちですが、次のような懸念事項もあります。
3-1.直接的な効果をもたらさない
フラーレン自体は炭素の塊であり、直接肌に栄養やうるおいを与えるものではありません。
たとえば、セラミドは肌のバリア機能を高めてうるおいを与える、レチノールはターンオーバーをサポートして明るい肌に導くなど、具体的に期待できる美容効果があります。
一方、フラーレンは、肌を酸化から守ったり、他の成分の反応を促進することで、肌の環境を改善。間接的な美容的をもたらす成分です。
そのため、フラーレン自体に過剰な期待を抱くのは危険。
次章で、製品選びのポイントや注意点を記載するので、参考になさってくださいね。
3-2.製品が少ない
また、フラーレンが配合された化粧品が少ないというウィークポイントもあります。
フラーレンを配合した化粧品は製品化が難しく、フラーレン化粧品を製造している企業が少ないのも事実です。
美容を教える化学の先生、かずのすけさんも、フラーレンがさまざまな反応を媒介してしまうとことから、生体にプラスの反応だけでなくマイナスに働く反応も引き起こしてしまうかもしれないと、危険性を指摘されています。
また、フラーレン化粧品の開発に取り組んだ大企業があったが、原料が高く、実用化が困難であったという記事も見られました。
フラーレンは、ビタミンCやナイアシンアミドのように、身近な美肌成分とは言えないでしょう。
4.フラーレン配合の製品を選ぶ際のポイントや注意点

では、フラーレンをスキンケアに取り入れたい場合、どうしたらよいのでしょうか。
選ぶ際のポイントや注意点を解説します。
4-1.選ぶ際のポイント
まずは、フラーレン化粧品の選び方のポイントをチェックしていきましょう。
・ロゴマークの有無
フラーレン化粧品のパッケージには、次のようなロゴマークがある商品があります。
- R.S.
- L.F.
- M.F.
- V.F
フラーレンの種類によってマークが異なりますが、一定濃度以上配合されている証になります。
マークが付いているからと言って、必ずしも高い美肌効果あるというわけではありませんが、一つのポイントとしてチェックしてみてくださいね。
・その他の有効成分
フラーレンは、その他の成分の働きを促進する働きがあります。
そのため、フラーレンだけに着目せず、その他の成分も併せてチェックすることが大切です。
後ほどその他の抗酸化成分について解説するので、最後までお読みくださいね。
・肌に合った形状
フラーレンは、化粧水、美容液、クリームなど、さまざまな形状で提供されています。自分の肌質や好みに合った製品を選びましょう。
4-2.注意点
続いて、製品選びや使用の際の注意点を見ていきましょう。
・期待しすぎない
先述したように、フラーレンは高い抗酸化作用で多くの注目を集めていますが、直接的な美容効果はありません。
そもそも、化粧品に配合されているフラーレンはごく微量。
たとえ、「R.S.」などのロゴマークついていても、化粧品全体に占める割合はとても低いのが実状です。
フラーレン化粧品を使用しているからと言って、完全に活性酸素を除去できるわけではないので、保湿やUVケアなどの基本的なスキンケアをしっかり行うことも大切。
またストレスや激しい運動などでも活性酸素は発生しますので、生活習慣の見直しも意識しましょう。
・パッチテストを行う
フラーレン化粧品を初めて使う際は、パッチテストを行うのがおすすめ。
赤みやかゆみなど、何かしらのトラブルが起こった場合、速やかに使用を中止しましょう。
5.抗酸化作用のあるその他の化粧品成分

フラーレンは、抗酸化作用のある成分と一緒に与えるとよいと言われていますが、他にはどのような成分があるのでしょうか。チェックしておきましょう。
5-1.ビタミンC
抗酸化作用のある成分として、まず挙げられるのがビタミンC。
純粋なビタミンCはデリケートで刺激が強いため、安定性を高めたビタミンC誘導体が多く使われています。
抗酸化作用による美白効果やエイジングケア効果の他に、コラーゲン生成促進、皮脂のケアなど、さまざまな美肌効果が期待できる成分です。
成分表には、次のようにさまざまな名称で記載されています。
- アスコルビン酸
- アスコルビン酸グルコシド
- アスコルビン酸リン酸マグネシウム(
- アスコルビン酸リン酸ナトリウム
- テトラへキシルデカン酸アスコルビル
など
5-2.ビタミンA
ビタミンAも抗酸化作用のある成分。
エイジングケアが期待できる成分として、高い注目を集めています。
ターンオーバーの正常化や、しわ・たるみ改善などに効果を発揮するのが特徴。
ただし、急に高濃度のビタミンAを補給すると、赤みや皮ムケなどの副反応が起こることがあるので注意が必要です。
次のような成分名で表示されています。
- レチノール
- レチノイン酸
- β-カロテン
など
なかでも、近年しわ改善効果が認められたレチノールは大注目成分。
こちらの記事にて詳しく解説しております。
5-3.ポリフェノール
ワインやカカオに多く含まれるポリフェノール。
飲食物から摂取するようなイメージがありますが、化粧品にも配合されています。
抗酸化作用の他にも、抗炎症作用や美白効果など、さまざまな美容効果も。
次のような成分名で表示されています。
- レスベラトロール
- エピガロカテキンガレート
- クロロゲン酸
など
5-4.ビタミンE
ビタミンEも抗酸化作用のある成分。
血行促進によるくすみ改善効果や保湿効果なども期待されます。
- トコフェロール
- 酢酸トコフェロール
- トコフェリルナノカプセル
など
5-5.コエンザイムQ10
数年前に話題を席巻したコエンザイムQ10も抗酸化作用のある成分。
私たちの体内にも存在するものですが、加齢とともに減少するため、補給してあげることが大切です。
保湿効果や血行促進効果も期待できます。
- ユビキノン
- リポソーム化ユビキノン
上記のような成分名で表示されているので、チェックしてみてくださいね。
6.まとめ
今回は、フラーレンについて解説してきました。
フラーレンは、抗酸化作用のある美容成分。
活性酸素自体を吸着したり分解することで、抗酸化作用を発揮するため、持続力が高いのが特徴です。
ただし、製品化の難しさや配合量の少なさなど、気になるポイントもあります。
また、フラーレン自体に直接的な美肌効果はないので、過剰な期待は抱かず、他の抗酸化成分と一緒に補給するとよいでしょう。