馬油の成分は?人の皮脂と似てるってホント?肌への効果やメリット・デメリットを解説

昔から多くの家庭の薬箱に常備されてきた馬油。

やけどや傷のケアに使われてきましたが、現代では馬油を使ったスキンケアがSNSで話題になっています。

今でも愛用者が後を絶たない理由は、馬油の魅力的な成分にあるようです。
今回は、そんな馬油の「成分」をクローズアップ。

人間の皮脂との比較や、肌に有効な成分を、詳しく掘り下げていきたいと思います。

馬油の成分について詳しくお知りになりたい方は、ぜひお読みくださいね。

1.馬油の基本情報

馬油の基本情報

馬油とはいったいどのようなものなのでしょうか。
まずはその特徴をチェックしておきましょう。

1-1.馬由来の油

馬油とは、馬のたてがみや腹部から採取される油のこと。

一般的な馬油は、常温では固形で、肌に塗布すると溶けてなじんでいきます。
(液体の製品もあります。)

馬油そのものだけでなく、シャンプーやコンディショナー、スキンケア製品など、馬油を配合した製品も数多く販売されています。

購入できるのは、ドラッグストアやコスメショップ、インターネット通販サイトなど。
身近な保湿剤と言えるでしょう。

1-2. 古い歴史を持つ

馬油は、古い歴史を持つ保湿剤。

中国では約4000年も前から使われてきたと言います。

ここ日本に伝えられたのは約400年前。
スキンケアや食用に取り入れられてきました。

現代でもさまざまなスキンケアを試す人も多く、廃れることなく愛用されています。

1-3.多様な用途

馬油には、次のようにさまざまな使い方があります。

  • やけどや切り傷のケア
  • あかぎれやしもやけなどの皮膚疾患のケア
  • 肌の保湿
  • マッサージ
  • 角栓ケア
  • 髪の保湿

こちらの記事には、馬油を使っていろいろなスキンケアをした様子をレポートしています。併せてチェックしてみてくださいね!

2.馬油のメリット・デメリット

馬油のメリット・デメリット

馬油には、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
それぞれチェックしていきましょう。

2-1.馬油のメリット

まずは、馬油のメリットをチェックしていきましょう。

・肌になじみやすい

馬油のメリットのひとつとしてまず挙げられるのが、肌へのなじみやすさ。

馬油は人の皮脂と大変似た構造をしているため、肌になじみやすいのです。
(その構造については、次章で詳しくご説明しますね。)

たとえば、ミネラルオイルやワセリンのように分子の大きい保湿剤は、皮膚に膜を貼るだけで肌に浸透しません。

一方、馬油のように人の皮脂に似ている保湿剤は、肌になじんでくれるので、角層を柔軟に保つ働きが期待できます。

・皮脂膜の代わりになる

人の皮脂によく似ている馬油は、「皮脂膜」を補う役割も期待できます。

皮脂膜は、皮膚をコーティングすることでバリア機能の一部を担っています。
バリア機能とは、主に次の2つの働きのこと。

  • 水分の蒸発を防ぐ
  • 外的刺激から肌の内部を守る

皮脂の分泌量は加齢によって減少。
20~30代が最も多く、50代になると約半分くらいになるといわれています。
また気候や食事、スキンケアによって、若くても減ってしまうことも。

馬油は加齢などで油分が減ってしまっている肌に、よいサポートとなるでしょう。

ちなみに、バリア機能を担っているものは、皮脂の他にも次の2つがあります。

  • セラミド(細胞間脂質)
  • NMF天然保湿因子

油分と併せて、スキンケアでセラミドなどを補うことは、バリア機能の向上に有効です。

2-2.馬油のデメリット

一方で、馬油は次のようなデメリットがあります。

・酸化しやすい

馬油は酸化しやすいオイルです。
開封後、何年も経過しているような馬油は肌トラブルを誘発する可能性があるので使用しないようにしましょう。

次のポイントに留意して、お使いいただくことをおすすめします。

  • 直射日光の当たらない、風通しの良い冷暗所に保存する
  • 使用後は蓋をしっかり閉める
  • 開封後は早めに使い切る

・ややべたつく

馬油はこっくりとしたテクスチャー。
さらさらしたテクスチャーの植物オイルなどを好んで使われてきた方にとっては、べたつきが気になるかもしれません。

皮脂の多いTゾーンへの塗布は控えるなどして、適切に取り入れましょう。

3.馬油の成分の特徴

馬油の成分の特徴

先述したように、馬油は人の皮脂の構造とよく似ています。
その理由を、深掘りしていきましょう。

3-1.不飽和脂肪酸を含む

一般的に動物油脂は飽和脂肪酸が多いのですが、馬油は不飽和脂肪酸も含んでいるという珍しい特徴があります。

次の表をご覧ください。

不飽和脂肪酸を含む

オリーブオイルやゴマ油と比較して、皮脂と馬油は酷似していることがわかりますね。

馬油が肌になじみやすいのは、このような理由があるからだと考えられます。

3-2.多くを占める脂肪酸は?

さらに、馬油の脂肪酸を構成している成分を詳しく見ていきましょう。

こちらは馬油の脂肪酸の一例です。

脂肪酸名 脂肪酸の種類 比率(%)
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 3.9
パルミチン酸 24.5
ステアリン酸 2.7
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 9.4
オレイン酸 36.9
リノール酸 17.3
リノレン酸 2.1

 

参考:馬油の基本情報・配合目的・安全性 | 化粧品成分オンライン アクセス日2023年1月25日

主成分はオレイン酸

・主成分はオレイン酸

馬油の主成分はオレイン酸。

オレイン酸は、皮膚を柔軟に保つ効果があります。
人の皮脂にも含まれますので、なじみがよく、水分の蒸発を防ぐ作用が期待できます。

ただし、ニキビの原因菌であるアクネ菌は、オレイン酸をエサにします。
そのため、馬油を必要以上に肌につけるのは危険。

ニキビのできやすい方は注意しましょう。
皮脂の多いTゾーンには多く塗らないことも、大切なポイントです。

・パルミチン酸

パルミチン酸も、人の皮脂と共通して多く含まれる成分。
化粧品にも配合されることが多く、抗酸化作用があります。

・リノール酸

次に多いのはリノール酸。体内で作ることができない「必須脂肪酸」の一つです。保湿効果やバリア機能を高めるというメリットがある一方で、酸化しやすいというウィークポイントもあります。

そのため馬油も酸化しやすいオイルだということを踏まえて、保存方法に注意して、早めに使い切ることをおすすめします。

4.まとめ

今回は、馬油の基本情報と共に、馬油を構成する成分にクローズアップしてきました。

馬油は人の皮脂と似た成分で構成されているため、非常に肌になじみやすいといわれています。

皮脂は加齢などで減少してしまうので、適切に補うことが大切。
つけすぎるとニキビなどの肌トラブルを誘発することがありますが、上手く取り入れることで水分の蒸発を防ぎ、保湿することができます。

酸化しやすいというウィークポイントもありますので、保存方法に気をつけて早めに使い切るようにしましょう。

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