こんにちは!美容ライター44歳の小泉雨凜です。
突然ですが、あなたはスキンケアをやめてみようと思ったことはありますか?
以前メディアで、スキンケアをワセリンだけする方法が取り上げられていました。
実はスキンケアは肌に悪く、全部やめることで肌本来の美しさが甦るというんです。
これって、私がこれまで学んできたスキンケアの常識と真逆!
クレンジングと洗顔でしっかり汚れを落として、化粧水や乳液でうるおいを与える。
そんなあたりまえのスキンケアが、完全に間違っているというのです。
ちなみに、私は過去にセラミドオイルだけのシンプルケアをしたことがありました。
そのときは肌の調子もよかったのですが、化粧水のみずみずしいテクスチャーが恋しくなって、いつものスキンケアに後戻り。現在は、化粧水→美容液→乳液→アイクリームという王道のスキンケアをしています。
もし本当にワセリンだけで肌がキレイになるなら、お金も時間も削減できていいことずくめ。
試しにやってみようかな!? そう思いはじめました。
けれど思い立ったその時は、空気が乾燥している2月。
44歳・乾燥肌の私にとって、スキンケアをやめるには恐ろしい時期でした。
そこから待つこと半年、湿気むんむんの梅雨の時期を迎えたので、ついにやってみましたよ!
今回は、その様子をレポートしてみたいと思います。
スキンケアがめんどくさいと思っている方、シンプルスキンケアに興味がある方、スキンケアにワセリンを取り入れたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。
Contents
1.2冊の本を参考にしました
今回ワセリンだけのスキンケアを始めるにあたって、参考にしたのがこちらの2冊の書籍です。
1-1.『最新版 肌断食 スキンケア、やめました』 平野卿子 (著)
スキンケアをやめるきっかけとなったのがこちらの本。
翻訳家の平野卿子さんが「肌断食」をしたというお話している動画をたまたま見たのですが、とても衝撃的!私よりもずっと先輩なのに、ものすごく肌がおキレイだったんです。
私が知ってるナチュラル志向の方は、浅黒くて太陽大好き!みたいなイメージの方々。シミも小じわもあるけれど、とびきりの笑顔の力でカモフラージュしているような感じでした。
そのような方も女性として素敵なのですが、日焼けをする勇気のない私はトライできませんでした。
でも平野卿子さんはぜんぜん違う。色が白くてすごくキメが細かくて、お若くみえるんです。
こんな肌になれるなら、やってみたいと思って、さっそく本を読んでみました。
平野卿子さんの素晴らしいところは、メイクを肯定しているところ。
女性として、メイクが心身に与える効用を理解していて、ご本人もメイクをされています。
でもメイクをしたらクレンジングしたいし、そしたらやっぱりスキンケアもしなきゃって思いますよね。その辺りも詳しく解説されているので、とても興味深く読ませていただきました。
1-2. 『化粧品を使わず美肌になる!』 宇津木龍一 (著)
もう一冊は、アンチエイジング治療専門の美容形成外科医・宇津木 龍一さんの著書。
かわいらしい挿絵がたくさん載っていて、とても読みやすいです。
なぜスキンケアをやめると肌がきれいになるのか、というメカニズムがわかりやすく書かれており、教科書のような本。
化粧品をやめることが怖いという人のために、段階的に減らしていく方法が書かれているのもうれしいポイントです。肌断食初心者の私には、入門書となりました。
2.ワセリンだけのスキンケアをやってみた
それではいよいよ、ワセリンだけのスキンケアにトライしてみたいと思います。
ちなみに今日は6月、外は雨。
湿度は62%と、スキンケアをやめるにはぴったりの湿気日和です。
今回、用意したのは『ワセリンHG』
やわらかくて伸びのいいテクスチャーで、使いやすい白色ワセリンです。
ちなみにワセリンは、精製度によって種類が分かれています。
こちらに詳しく解説しておりますので、併せてチェックしてみてくださいね。
2-1.ぬるま湯で洗顔
どちらの書籍も、朝は洗顔料を使わずに水洗いのみを推奨。
寝起きのTゾーンはべたついているので洗顔料を使いたいのですが、今日からぬるま湯だけで洗顔してみようと思います。
ちなみに寝ているあいだに分泌された皮脂は時間と共に過酸化脂質に変化して、肌にダメージを与えます。これをしっかり落としたいのですが、書籍には以下のように書かれていました。
過酸化脂質は、お湯だけで十分落とせます。33℃以下の“ぬるま水”を手にため、顔にかるく押し当てて、水の振動で洗ってください。
出典:宇津木龍一『化粧品を使わず美肌になる!』株式会社主婦と生活社, 2013, 22ページ
水に振動を与えるのが少し難しいのですが、なるべく摩擦が起きないようにぬるま湯で洗顔しました。
やわらかいタオルで水分を拭き取ります。
ゴシゴシ拭くと摩擦になるので、やさしく押さえるだけにしました。
ちなみに、タオルを洗う洗剤にも注意した方がよいと書かれています。
合成洗剤には、肌バリアを壊す合成界面活性剤が含まれています。合成界面活性剤を含まない純石けん(→P40)を使うようにしてください。
出典:宇津木龍一『化粧品を使わず美肌になる!』株式会社主婦と生活社, 2013, 24ページ
見切り発車で肌断食をスタートさせてしまいましたが、純石けんで洗濯した清潔なタオルが必要でしたね。とりいそぎ今回は、一般的な合成洗剤で洗ったタオルを使用しました。
うわぁ?!ぬるま湯で洗っただけなのに、どんどんつっぱっていく感じ!
普段は間髪入れずに化粧水を塗っているので、このタイミングでかなりヒヤヒヤしました。
この感覚に慣れないとスキンケアはやめられないと思い、ぐっと我慢です。
2-2.Uゾーンだけに米粒ひとつのワセリン
さて、ここで乾燥が気になる部分に唯一塗ってよしとされているのが、ワセリンです。
さっそく米粒一つ分を綿棒に取ってみます。
少なっ!
たったこれだけで44歳の肌も大丈夫なのでしょうか!?
いつもは500円玉大の化粧水を2?3回塗布しているので、この量の少なさにも驚愕です。
片手にワセリンを乗せて、両手をこすり合わせます。
するとこんな感じでテカっとツヤが出ます。
この状態で、Uゾーンをハンドプレス。
肌がペタペタとする感じです。
一粒で足りるかなと思いましたが、伸びがいいので頬全体を覆うことができました。
ちなみに、どちらの著書にも日焼け止めの使用が推奨されていません。
雨の日でも日焼け止めだけは塗りたい私としてはとても不安ですが……ここも我慢のしどころ!
本日はすっぴんで過ごしたいと思います。
2-3. 数時間後の肌
1時間後、とくにつっぱり感はありません。
洗顔後、何も塗らなかったおでことワセリンをぬった頬が、同じくらいしっとりしているような感じはあります。思いのほか乾燥は気になりません。
ただ、肌がうるおってる感覚もなし。
今のところ、可もなく不可もなく、といったような感じです。
3時間経過した肌は、見た目は1時間後と変わりありませんでしたが、ややべたついているような感じもありました。
3. 3日間、肌断食をして感じたこと
以上のようなスキンケアを、朝晩6回、計3日間トライしてみました。
総じてスキンケアをワセリンだけにしたからといって、すごく乾燥するということはありませんでした。
洗顔後はややつっぱるものの、ワセリンを塗ればなんとかごまかせるような感じです。
湿気の多い梅雨だったことも、大きく関係しているでしょう。
しかし、申し訳ないのですが3日で挫折しました……!
その理由は、次のようなデメリットを感じたからです。
3-1.デメリット
・年単位での気合が必要だった
スキンケアをやめてから肌が美しくなるまで、1年以上かかると記載されています。
平野卿子さんはボロボロに皮ムケしてしまった時期もあったとのとこ。
今すぐキレイになりたい私としては、1年は長すぎるし、皮ムケする時期を乗り越えられる気がしませんでした。
またそれに合わせてメイクを薄くしたり、純石けんを用意したりと、その他の準備も必要。
もう少し、心とアイテムの準備を整えてから始めるべきだったと反省しました。
ただしスキンケアを完全にやめられなくても、減らすだけで十分効果はあるということだったので、段階的にトライしてみるのもいいかもしれません。
・ファンデーションを楽しみたい人には不向き
スキンケアをやめるにあたって、他にもやめなくてはいけないのが濃いメイク。
クレンジングは肌を傷めるので、ファンデーションは基本なし。
つけるとしても、純石けんで落とせるパウダーのみが推奨されています。
(平野卿子さんは、リキッドファンデーションはここぞというときはOKと書かれています)
メイクはあまり肌によくないことはわかっているものの、私にとってファンデーションを使い分けて「肌作り」をすることも、楽しみのひとつでした。
仕事の日にマットな肌できちんと感を出したり、休みの日にクッションファンデでとびきりのツヤ肌を作ってみたり。
また書籍ではポイントメイクはOKで、水やワセリンを含ませた綿棒でオフする方法が提案されていました。
しかし、たとえナチュラルメイクでも、ポイントメイクをしたならしっかりクレンジングをして落としたい!そう思ってしまったのです。
ここがデメリットを感じた2つめのポイントでした。
・日焼け止めは塗りたい!
また、日焼け止めも推奨されていません。
“直射日光に15分以上あたるときも、日焼け止めは避け、上図のように日傘や帽子を使いましょう。”
出典:宇津木龍一『化粧品を使わず美肌になる!』株式会社主婦と生活社, 2013, 29ページ
けれど、紫外線の害を学んできた私としては、どうしても日焼け止めだけは塗りたい!
今は梅雨だからいいけれど、これから真夏の時期に紫外線吸収剤入りの日焼け止めなしに生きていけるだろうか……!?
最終的にこれが大きな壁となり、ワセリンだけのスキンケアを断念してしまいました……。
3-2.メリット
ただしここまでデメリットばかりを挙げてしまいましたが、これはいいな、と思えるポイントもありました。
・小鼻の毛穴がキレイになりそう
毎日ファンデーションをしていると、どうしても毛穴の詰まりが気になってきますよね。
ただこの3日間、メイクも日焼け止めもしなかったことで、毛穴の汚れが落としやすくなった気がしました。
年単位で肌断食をする覚悟はできていないけど、時々こうして肌を休めるのもいいなと感じました。
・「こすらない」を徹底させてくれる
またどちらの書籍も共通して唱えているのが、「摩擦の害」。
こすると肌のバリア機能が壊れてしまうので、ぜったいにこすってはいけないと言っています。
平野卿子さんは、タートルネックや被りものの服をやめて、前あきの服を着るようになったとおっしゃっています。お肌のために着る服まで変えるなんてすごい!
私も最近、摩擦による首イボが出現しはじめているので、著者のように徹底したいと思いました。
4.ワセリンの効果
以上のようにワセリンだけのスキンケアにはメリット・デメリットを感じましたが、とくに一番気になったのが「乾燥」。
梅雨の時期なので極度につっぱるようなことはなかったのですが、ワセリンの効果を考えるとやはり保湿不足ではないかと思います。
そもそも私たちの肌の一番外側は、皮脂膜によって覆われています。
その皮脂膜が、水分の蒸発を防いでくれています。
ワセリンは、この「皮脂膜」の代わりとなってくれるもの。
塗布することで、蓋となり内側の水分の蒸発を防いでくれるのです。
しかし、そもそも肌内部が乾燥していたらどうでしょう?
ワセリンは、あくまで蓋として水分の蒸発を防ぐだけ。
内側の水分量を増やしてくれるわけではないので、乾燥肌や敏感肌の人には不向きなのです。
5. 肌内部のうるおいをキープしてくれる成分が必要
では、肌内部の水分量を増やしてくれるものとはなんでしょうか。
それは、私たちの角質層にもともと存在する、細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)。
これらが配合された化粧品を使うことで、水分量増加による保湿作用が期待できます。
代表的な成分は、セラミド。
セラミドは、細胞間脂質の主成分で、水分をしっかりとはさみこんで角質層から水分が蒸散するのを防ぎます。
ちなみに、別の書籍『美人に化粧水はいらない』吉木伸子(著)には、以下のように書かれています。
肌が乾燥するのは、空気が乾燥するからでもなく、化粧水が足りないからでもなく、水の飲み方が足りないからでもありません。セラミドが足らないからです。
出典:吉木伸子『美人に化粧水はいらない』株式会社講談社, 2013, 60ページ
乾燥肌や敏感肌の人がワセリンをスキンケアに取り入れたいのであれば、セラミドなどの保湿成分が配合された化粧品との併用がおすすめ。
スキンケアの最後にワセリンでラッピングすることで、より高い保湿効果を得られるでしょう。
6. まとめ
今回は、メディアで話題となっていた「スキンケアやめる」という方法を試してみました。
使用するのはワセリンのみ。
リーズナブルで簡単なスキンケアですが、メイクを薄くしたり、日焼け止めを控えるなど、いろいろな変更点を要することに、挫折してしまいました。
そもそもワセリンは、水分の蒸発を防ぐことはできますが、肌内部にうるおいをもたらしてくれる効果はありません。それには、セラミドなどの細胞間脂質など、水分量を増やしてくれる成分が必要だと感じました。
ただし2冊の書籍を読んで、自分が知っていることが、すべての人にとっての常識ではないことを痛感。
自分の中の常識にとらわれずに、これからもいろいろなスキンケアにトライしてみたいと思います♪