スキンケア製品やヘアケア製品に活用されている「パンテノール」という成分。
保湿をはじめ、肌にうれしい効果をもたらしてくれる成分です。
そこで今回は、パンテノールの働きについてクローズアップ。
パンテノールが一体どのような成分で、肌にどのような効果をもたらしてくれるのか、詳しく解説していきたいと思います。
- パンテノール成分とは何?
- パントテン酸は何に効く?
- パンテノールはニキビに効果がある?
- パンテノール配合の化粧品は、肌にどんな効果がある?
- パンテノールとナイアシンアミドの違いは?
- パンテノールは毒性がある?
- パンテノールを使っても乾燥する場合はどうしたらいい?
- パンテノールはエイジングケア効果が期待できる?
以上のような疑問をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
1. パンテノールとは
パンテノールとはいったいどのような成分なのでしょうか。
その特徴をチェックしていきましょう。
1-1.ビタミンB群の一種
パンテノールは、水溶性ビタミンの一種。
パテトン酸のアルコール型誘導体で、体内に吸収されるとビタミンB5(パントテン酸)になることから、「プロビタミンB5」とも呼ばれています。
色は無色透明。
水やアルコールに溶ける性質があり、粘り気がある成分です。
1-2.パンテノールの働き
パンテノールは、体内に吸収されると補酵素の構成成分に変化。
エネルギーの産生やコラーゲンの合成など、からだのさまざまな働きを助けます。
肌への主な働きは、保湿や皮膚のターンオーバーをサポートすること。
健やかな肌を保つために、大切な働きをしています。
1-3.パンテノールが不足した肌は
そんなパンテノールが不足すると、肌のバリア機能は低下します。
バリア機能とは、水分の蒸発を防いだり、外部刺激から肌を守ったりする機能のこと。
バリア機能が低下した肌は、乾燥してかゆみや赤みなどの炎症が起こりやすくなったり、紫外線の影響を受けやすくなってしまいます。
1-4.パンテノールが配合されているもの
パンテノールは、パントテン酸よりも安定性に優れているため、化粧品や医薬品など、次のようにさまざまな製品に配合されています。
- スキンケア製品
- ヘアケア製品
- 塗り薬(かゆみ肌の治療、傷の修復)
- ドリンク剤(栄養補給や肉体疲労の回復)
- 目薬(眼精疲労の改善)
化粧品への配合量は、制限が設けられています。
1-5.表示名称
パンテノールの表示名称は以下の通りです。
化粧品表示名 | ・パンテノール |
医薬部外品表示名 | ・DL-パントテニルアルコール
・D-パントテニルアルコール |
パンテノール配合の製品を探す際の、参考にしてみてくださいね。
1-6.パントテン酸(ビタミンB5)配合の食品
パンテノール自体は、食べ物から摂取することはできません。
しかし、パントテン酸は、ギリシャ語の「いたるところに存在する」という言葉が語源となっているだけあって、次のような身近な食材に含まれています。
パントテン酸(ビタミンB5)配合の食品
- 納豆
- 卵黄
- モロヘイヤ
- うなぎ
など
あまり体内で欠乏することはないと言われていますが、バランスの悪い食生活を送っている方、ストレスの多い方などは注意しましょう。
1-7.パンテノールの安全性
パンテノールは安全性の高い成分。
併用できない成分も、とくに報告がないようです。
皮膚への刺激も少なく、あらゆる肌質が使いやすい成分と言えるでしょう。
ただし、肌への刺激は人それぞれ。
必ずしも、万人に反応が出ないというわけではありません。
敏感肌の方はパッチテストを行うなどして、慎重に使うようにしましょう。
2.パンテノールの効果
パンテノールは、どのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。
詳しく掘り下げていきましょう。
2-1.保湿
パンテノールは、保湿力のある成分。
角質層を柔軟に保ち、うるおいを与えてくれます。
肌に浸透しやすい性質もあり、保湿目的として化粧水や美容液などあらゆる化粧品に配合されています。
2-2.抗炎症作用
またパンテノールの効果として知られているのが、抗炎症作用。
体内に吸収されたあと、白血球細胞に働きかけて、炎症を抑える効果が期待されます。
肌荒れやニキビを予防したい方にとって、うれしい働きをもたらしてくれるでしょう。
2-3.創傷治癒作用
またパンテノールに期待できるのが、創傷治癒作用。
代謝をサポートして肌の乾燥を防ぐことで、傷の修復を助けることにつながります。
そのため、ひびやあかぎれの治療薬にも使われています。
ちなみにこちらは、ひび、あかぎれ、しもやけに効果が期待できる市販の医薬品。
パンテノールが5.0g配合されていました。
2-4.目の負担を軽くする
パンテノールは、皮膚への効果だけではありません。
目の新陳代謝をサポートする効果も期待できます。
そのため、眼精疲労の回復目的の点眼薬にも配合されています。
2-5.育毛促進効果、白髪予防
パンテノールは、頭皮環境を改善する効果が期待できるため、ヘアケア製品にも多用されています。
あの有名なヘアケアブランド『PANTENE(パンテーン)』は、ブランド名にも使われているとおりパンテノールを配合した製品。
シャンプー、コンディショナー、ヘアオイルなど、パンテノール配合の製品が多く発売されています。
その他、パンテノールは多くの育毛剤にも配合されています。
また育毛促進効果に加えて、白髪予防効果も期待できるのもうれしい魅力のひとつ。
肌だけでなく、髪の毛の老化にお悩みの世代にうれしい効果を発揮してくれる成分です。
3.パンテノールで保湿が長続きしないのはなぜ?
保湿効果が期待できるパンテノール。
しかしパンテノール配合の化粧品を使っているのに、肌のうるおいが長続きしないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
肌の乾燥は、紫外線や間違ったスキンケア、乱れた食生活など、さまざまな理由が考えられますが、その理由のひとつに「セラミド不足」が考えられます。
セラミドとは一体どのような成分なのか、併せてチェックしておきましょう。
3-1.セラミドとは
セラミドとは、私たちの肌の角質層にもともと存在する成分。
角質細胞の間をセメントのように埋めている「細胞間脂質」の主成分です。
主な働きは次の2つ。
セラミドの主な働き
- 水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいを守る
- 花粉や紫外線などの外部刺激から肌を守る
バリア機能の要として働くため、セラミドに満ちた肌はうるおいがあり、健やかで美しいのです。
3-2.年齢と共に減少してしまう
そんな肌のうるおいに欠かせないセラミドですが、年齢とともに減少してしまうのが事実。
30代以降は徐々に減少して、50代では20代の頃の約半分程度に減少してしまうのです。
保湿成分であるパンテノールを化粧品で補っても肌が乾燥してしまうのは、セラミド不足が原因かもしれません。
3-3.セラミドは補える
セラミド不足の肌には、セラミド配合の化粧品で補うことも可能。
ただし選び方にはちょっとしたコツがあります。
そのコツとは、セラミドの種類にこだわること。
セラミドとひとえにいってもいくつか種類があります。
おすすめはヒト型セラミド。
ヒト型セラミドは、もともと私たちの肌にあるセラミドと似た構造をしているため、ほかのセラミドに比べて保湿力が高く、肌なじみがよいのが特徴です。
パンテノール化粧品を使っても肌が乾燥してしまう方、より高い保湿力を求めている方は、ヒト型セラミド配合の化粧品を選んでみてくださいね。
3-4.ブースターに
ちなみに私はセラミド配合のオイルをブースターとして使っています。
洗顔後の肌に1、2滴手のひら全体に伸ばします。
その手のひらで乾燥しやすい頬を包み込むようにハンドプレス。
その後に手のひらに残った油分をTゾーンに伸ばして完成です。
たったこれだけですが、ごわついた肌がふわっと柔らかくなり、その後のスキンケア製品の浸透もアップします。
とくに疲れている日や旅行でたくさん化粧品を持っていきたくないときは
セラミドオイル→シートマスク→セラミドオイル
という2アイテムだけで済ませることも。
そんな時短スキンケアをした直後の肌がこちら。
化粧水を省く分、エッセンスをたっぷり含んだシートマスクを使って、セラミドオイルで蓋をすることで、長時間うるおいをキープできます。
4.エイジングケア効果をアップさせたい方は
パンテノールは保湿効果などうれしい肌への効果が期待できる成分ですが、よりエイジングケア効果を期待したい方には、やや物足りないと感じるかもしれません。
そのような方には、同じくビタミンB群のひとつ「ナイアシンアミド」が有効です。
4-1.ナイアシンアミドとは
ナイアシンアミドとは、ビタミンB3のことで「ニコチン酸アミド」とも呼ばれる成分。
近年大注目されている美容成分で、医薬部外品の有効成分として認められています。
4-2.ナイアシンアミドとは
ナイアシンアミドには、次の2つの効果が期待できます。
ナイアシンアミドの効果
- 美白効果
メラニンが運ばれるのを抑制して、シミを予防します。 - しわ改善効果
コラーゲンの生成を促して、肌に弾力をもたらすことで、しわを改善します。
美白とエイジングケア効果が同時に期待できる、とても魅力的な成分。
同じくしわ改善効果が認められているレチノールよりも効果がマイルドで、使いやすいという特徴があります。
「肌にはうるおいがあるけれど、美白効果やエイジングケア効果が欲しい!」という方には、おすすめの成分です。
5.まとめ
今回は、ビタミンB群の一種「パンテノール」についてピックアップしてきました。
パンテノールは、化粧品やヘアケア製品、医薬品などにも幅広く活用される成分。
肌の保湿効果や、代謝をサポートする働きなど、うれしい効果が期待できる成分です。
一方で、パンテノール化粧品を使っても肌が乾燥してしまう方は、保湿力をアップさせてくれる「セラミド」もおすすめ。
うるおいに問題はないけれど、より美白やエイジング効果を期待したい方は、「ナイアシンアミド」を追加するなど、他の成分と上手く組み合わせて取り入れるとよいでしょう。