クレンジングの際、必要だと言われる「乳化」。
クレンジング剤にはさまざまな種類のものがありますが、すべて乳化が必要なのでしょうか。
今回は、そんな乳化に関する、あらゆる疑問にクローズアップ。
乳化をするべき理由や、乳化の正しいやり方もご紹介します。
- クレンジングの乳化のさせ方は?
- 乳化しないとどうなる?
- ジェルクレンジングは乳化しない?
- クレンジングバームは乳化させる必要がある?
- ミルククレンジングは乳化させない?
- クレンジングが乳化すると白くなるのはなぜ?
- オイルクレンジングはなぜ肌に悪い?
- IKKOさんが提唱する乳化洗顔とは?
- 乳化洗顔の水の量はどれくらい?
以上のような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考になさってくださいね。
1.乳化とは?
乳化とは、本来溶け合わないものが均一に混ざり合う現象のことを言います。
代表的なのが、水と油。
本来であれば、水と油は混ざり合いませんよね。
しかし、よく振るなどして、しっかり混ぜると混ざり合います。
これが乳化。
ドレッシングなどに「よく振ってからお使いください」と記載されているのは、乳化させるためです。
化粧品のほかにも、食品や洗剤など、乳化されたさまざまな製品があります。
乳化を行うためには、一般的に乳化剤や界面活性剤が使用されることがあります。
2.クレンジングにおける乳化の必要性
なかでも今回ピックアップするのは、クレンジング剤における乳化の必要性。
なぜクレンジングする際、乳化が必要なのでしょうか。
その理由と、乳化をしなかった場合に起こりうるデメリットを詳しく見ていきましょう。
2-1.乳化が必要な理由
クレンジングにおいて乳化が必要な理由は、大きく分けて以下の3つあります。
・効率的に汚れを浮かせる
クレンジングは落ちにくいメイクや皮脂などをオフする目的があります。
乳化することで、これらの汚れをクレンジング剤がしっかりと取り込んで、しっかり浮かせることができます。
・すすぎやすくする
すすぎやすさの向上も、乳化の目的のひとつ。
油分の多いクレンジング剤でも、乳化させることで水と混ざりやすくなり、洗い流しやすくなるのです。
・肌への負担軽減
乳化することで、肌への負担も軽減できます。
ぬめりのあるクレンジング剤が肌にまとわりついていると、ついゴシゴシしたくなりますよね。
しかし、乳化することでクレンジング剤がふわっと浮くため、摩擦を起こすことなく、メイクオフできます。
2-2.乳化しないとどうなる?
では乳化しないとどうなってしまうのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
・汚れが肌に残りやすい
クレンジングで乳化をしないと、汚れをしっかりとオイル中に取り込むことができません。それにより、肌表面や毛穴に汚れが残ってしまうことも。これは、毛穴の詰まりやニキビ、くすみや肌荒れなど、さまざまな肌トラブルを引き起こす可能性もあります。
・摩擦によるダメージ
乳化させないことで、すすぎにくくなり、ゴシゴシして流そうとすることで、摩擦が起きてしまいます。肌への摩擦はしみやくすみ、ニキビ、乾燥など、さまざまな肌トラブルの原因。
とくに敏感肌の方や肌トラブルを抱えている方は、摩擦によるダメージを受けやすくなります。
・時間がかかる
乳化させるのは、時間も手間かかると思いがちですが、乳化させないことで、すすぎがしにくくなり、余計に時間がかかってしまいます。
クレンジングを短時間で済ませるためにも、乳化を行うようにしましょう。
3.乳化が必要なクレンジング剤の種類
以上のように、クレンジングにおける乳化はとても大切なことです。
しかし、すべての種類のクレンジング剤で乳化が必要なわけではありません。
どのクレンジング剤で乳化が必要なのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.【必要】クレンジングオイル
洗浄力が高く、濃いメイクも落とすことができるクレンジングオイル。
クレンジングオイルは、乳化が必要なクレンジング剤です。
クレンジングオイルを主に構成しているのは、油性の成分。
乳化させることでより効果的に汚れを落とし、肌を清潔で健康的な状態に保つことができます。
3-2. 【不要】クレンジングジェル
オイルフリーやオイルインタイプ、油系ジェルタイプなど、さまざまな種類があるクレンジングジェル。
クレンジングジェルは、基本的に乳化をさせる必要はありません。
水や水溶性の成分を基にして作られているため、水で簡単に洗い流すことができるからです。
ただし油性成分が基材となっているクレンジングジェルの場合、「転相」が起こるため、乳化した方が流しやすくなることも。
クレンジングを手に取った状態では、油が水に包まれた状態。
この状態をO/W型と呼びます。
しかし、肌の上でなじませていると、手肌の温度で水分が蒸発し、メイクや皮脂と混ざります。それにより、油が表面に出てきて水が油に包まれた状態に。この状態をW/O型と呼びます。
その後水ですすぐと水分が増加して、水と油が逆転。
またO/W型に変化します。
このような転相が起こるため、油系のクレンジングジェルは、軽く乳化した方が流しやすくなると考えられます。
オイルフリーの表示がなく、成分表示の一番上が油性成分である場合は、油系のクレンジングジェルですので、チェックしてみてくださいね。
※ちなみに、「水溶性ジェルクレンジングを使用して自分の皮脂を乳化させて皮脂を取り除くスキンケア」を、エステティシャンの伏見嘉洋さんという方が「乳化クレンジング」として提唱されています。しかし一般的には、クレンジングオイルと水を乳化させて洗い流すことを「乳化クレンジング」と言うので、混同しないようにしましょう。
3-3. 【不要】クレンジングミルク
洗浄力は低いものの、肌にやさしく、ナチュラルメイクをオフするのに最適なクレンジングミルク。
クレンジングミルクも、基本的に乳化をさせる必要はありません。
クレンジングミルクは、もともと乳化している状態だからです。
ただし、すすぎ後のぬるつきが気になる場合は、軽く乳化させるのもおすすめ。
ふわりと軽くなって、すすぎしやすくなります。
3-4. 【不要】クレンジングクリーム
リッチなテクスチャーで、乾燥が気になる方でも使いやすいクレンジングクリーム。
そんなクレンジングクリームも、乳化をさせる必要がないクレンジング剤のひとつ。
クレンジングクリームは、もともと乳化している状態だからです。
しかし、クレンジングクリームも、油系のクレンジングジェルと同様に、転相が起こります。
そのため、軽く乳化することで、よりすすぎやすくなると考えられます。
また、クレンジングクリームは厚みがあるため、クリームを軽くティッシュオフしてからすすぎするのもおすすめです。その際、摩擦を起こさないように、やさしくティッシュオフしましょう。
3-5. 【必要】クレンジングバーム
近年大人気のクレンジングバーム。
肌の温度でふわっと溶け出すテクスチャーで、愛用者も続出しています。
そんなクレンジングバームは、乳化が必要なクレンジング剤。
クレンジングオイルと同様に油分をしっかり含んでいるため、乳化が必要となります。
4.乳化のやり方
それでは、ここから実際にクレンジングオイルを使って、乳化の方法を写真付きで解説していきます。
4-1.メイクになじませる
まずは、メイクにクレンジングオイルをなじませます。
その際、清潔な手で行いましょう。
4-2.少量の水を指に取りクレンジングオイルと混ぜる
メイクとクレンジングオイルがなじんだら、少量の水またはぬるま湯を指にとり、クレンジングオイルと混ぜ合わせます。
目安は2~3滴。
水が多すぎるとうまく乳化しないので、少量ずつから調整してみてくださいね。
クレンジングオイルが白濁したら乳化したサイン。
ふわっと軽くなる感触があります。
4-3.洗い流す
ぬるま湯で優しく洗い流します。
ダブル洗顔不要のクレンジングオイル以外は、その後、洗顔料で洗顔を。
肌に残留したクレンジングオイルや汚れをしっかりオフすることができます。
4-4.クレンジングミルクでのクレンジング
では、基本的に乳化不要と言われるクレンジングミルクではどうでしょうか。
クレンジングミルクをメイクになじませてみます。
すでに、乳化させたような白濁したクリーム状になりました。
ここであえて少量の水を加えてみると、より軽いテクスチャーに変化。
簡単にすすぎをすることができました。
こっくりしたテクスチャーのクレンジングミルクをお使いの方は、少し乳化させると、よりすすぎやすくなると思います。
5. IKKOさんが提唱する乳化洗顔とは
クレンジングにおける乳化のほかにも、「乳化洗顔」というワードについて、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
乳化洗顔とはいったいどのようなことなのか、詳しく見ていきましょう。
5-1.美容家IKKOさんが提唱した洗顔
「乳化洗顔」という言葉は、美容家のIKKOさんが提唱している洗顔メソッドから生まれたワードのようです。
IKKOさんの洗顔メソッドの基本は、「朝は泡で軽く、夜は乳化させて洗う」というもの。
朝は、表面の角質やタンパク質の汚れを泡で軽く落とすことが重要だといいます。
そして夜に登場するのが「乳化洗顔」。
肌表面や毛穴に溜まった皮脂を、クリームを乳化させて優しく洗うことが大切だと言います。
朝と夜で洗顔料を使い分けることが美肌のカギだそうなので、ワンランク上の肌を目指したい方はぜひ参考になさってみてください。
5-2.乳化洗顔をやってみた
それでは実際に、乳化洗顔を行ってみたいと思います。
IKKOさんは、ご自身でプロデュースしているクリーム状の洗顔料を使って乳化洗顔をしているとのこと。
今回は、ピュアセラディープクレイというクリーム状の洗顔料で行ってみたいと思います。
こちらは泡立て不要で、顔に塗るタイプの洗顔料。
まず、顔全体に洗顔料を伸ばします。
この時点では、重めのテクスチャー。
軽くマッサージするようになじませます。
少量の水を加えます。
するとテクスチャーが軽くなり、ふわっと浮き上がってくるような感じがします。
ここで、すすぎをします。
洗顔後はとてもすっきり。
皮脂や毛穴に詰まった汚れもオフすることができて、顔全体が軽くなったような印象がありました。
一日で肌表面や毛穴に蓄積してしまう汚れ。
とくに、乳化洗顔でこまめにケアしてあげることが美肌の鍵と言えるでしょう。
肌のベタつきが気になる方は、こちらの記事も併せてチェックしてみてくださいね。
6.まとめ
今回は、クレンジングにおける「乳化」について詳しく解説してきました。
クレンジングの際、乳化をさせることで、メイク落ちがよくなったり、すすぎがしやすくなったり、摩擦を防げるなど、さまざまなメリットが生まれます。
しかし、すべてのクレンジング剤において乳化が必要なわけではありません。
お使いのクレンジング剤の種類に合わせて、適宜乳化を行うようにしましょう。